2011年10月7日金曜日

かわいい船たち

 EVE Onlineのプレイヤで、宇宙船を好きになれない人はあまりいないだろう。

 いや。
 正直にいうと、私は最初、あまり好きではなかった。

 もちろん、これは私がカルダリ人であることも大きな理由のひとつだ。
 カルダリ生まれにもかかわらず、私はカルダリのデザインが好きになれなかった。

 左右非対称を通り越した破天荒な形状(どうしてそんな形にする必要があったのだろう?)、にもかかわらずのっぺりとしたテクスチャ、そしてやたらとピカピカ光る標識灯。

 学校の講師からときどき配布されるカルダリの艦船を眺めては、ため息をついたものだ。
 カルダリは科学の国ではなかったのか。
 ならばどうしてこんな「やっつけ仕事」みたいな艦船が多いのか、と。

 よい設計の最後には、よい装飾を。
 美しさは性能に裏打ちされ、性能は美しさを際立たせてこそだと、私は思ったのだ。

 もちろん「Advanced Military」の10連レクチャを終えたときにもらったDDは宝物になった。
(一度、Noob Killer に FPK されて愕然としたけれど、別の学校に行って、またもらったりしました)
 しかし、カルダリの船に共通した、不合理にさえ思える無愛想な形状、無個性な装飾性に、私は少しずつ嫌悪感さえ覚えるようになっていった。



 駆け出し商人だったあのころ、私はIDSよりもDD(それでもカルダリの)を好んで乗っていた。

 仕入れに使えるお金もわずかだったし「何が」「どこで」安く、あるいは高く取引されているのか。なによりどんな商材がどのような意味を持っているのかさえ、分からずにいた。

 JP-CHで「JitaがEVE宇宙最大の商都だ!」と知ってからは、分からないながらに、自分が使って便利だと思ったものを仕入れて売るようになった。

 そのとき、カーゴに入れている自分用の弾薬が邪魔になったのが、Amarr艦に乗ることになったきっかけだった。

 T1弾薬を買うお金さえ惜しみたかったあの頃の私にとって、カーゴを弾薬が圧迫しないことももちろんだけれど、弾薬がいらないということが大きな意味を持った。



 かくして私はAmarrの学校へ入学し、かの帝国のきらびやかな艦船に心を奪われたのである。

 シールドスキルが中心になりかけていた私は、急遽アーマ防御のスキルを学習し始め、ハイブリッドタレットとミサイルスキルを放り出し、レーザタレットの魅力に浸ったものである。

 数ヵ月後にはAmarrの誇る優美な防御型戦艦「Abaddon」にも乗れるようになり、それに気をよくしたこともあって、しばらくは Abaddon ばかり乗っていた。

 ただ、それでもやはり、小型艦が私は大好きだ。

 特に気に入ったのが、Amarrの重装FG「Punisher」で、私は今でもこの船が大好きなのである。

 どことなくペンギンを思わせる愛らしい外観、底面から覗くメカメカしいケーブル。
 きらきら光る装甲と、帝国らしい艶やかな装飾。
 スラスタの配置は過不足なく、たなびく光の尾も美しい。
 武装をすると愛嬌のある印象は一転、雄々しいタレットがターゲットを追いつめようと鎌首をもたげる。



 各国に好きな船はあって(もちろん、カルダリにだってある)大型艦の荘厳な感じも好きだけれど、やはりFG、せいぜいCLクラスのサイズが、何故か私は好きなのである。

 あの、愛らしさや親しみやすさが、その一因なのではないかと、密かに考えている。

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