2021年1月22日金曜日

 我々カプセラは不死身だ。
 違うだろうか。

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 オールドアースの白昼夢(IRL)では、12年ほども使い続けたコンピュータがいよいよ動作が困難になり ── OSのアップデートなどずいぶん前からできなくなっている ── 新しいマシンを購入した。
 しかし購入したマシンが新しいことはユーザにとって必ずしも恩恵をもたらすとは限らない。
 周辺機器のドライバやアプリケーションのほとんどは使えなくなり、喜び勇んでインストールしたEVEクライアントは動作しない。

 サイトまで日本語化していてたいそう驚かせたオメガクローン(ゲームタイム、と我々は呼んでいたはずだ)は、私の2*13k円(私と真雪の分)を呑み込んで沈黙してしまった。

 仕方がないので渋々とサポートにチケットを切る。
 最終的に26k円がポケットに戻り、そして私は上四半期にリリースされるというMacのM1チップ対応版クライアントを待つだけの人になってしまった。

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 カプセルに浮かんで伝達ケーブルを通しての艦船制御なんて、すっかり忘れてしまったから、いっそのことAuraにチュートリアルから教えてもらいたいところではある。

 なにより私は最後、WHにいたはずなのだ(居場所を探さないでください)。
 プロービングの技術も遠い記憶の彼方なのに、WHで無事に出口を探し出し、そこから(大抵はLowだのNullだのを何度もくぐり抜け)存続しているかも怪しい Office へ無事に戻るなんていう芸当が私に可能だろうか(どうか居場所を探さないでください)。

 インプラントが刺さっている個体だったかどうかも覚えていないが、刺さっていないならそのまま途中で殺されてしまうのもひとつの方法だろう。

 肉体の死は、カプセラにとって単なる手足の喪失に過ぎない。
 もちろん、その肉体に付随したもの(胃袋の中の夕食であるとかはもちろん、一番の焦点であろうインプラント)は失われるが、それらの喪失は、我々カプセラの魂の喪失を ── 存在の消滅を ── 意味しない。

 洋服やメイクさえ、死ぬ前とほとんど変わらぬ状態で復活できるのである。

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 IRLでは5年か6年ほども経ってしまったように思う。
 それでもこの白昼夢が暖かくなる頃になれば、私は戻るのだ。

 あの漆黒の。
 冷たい孤独の中へ。