WH生活が続いている。
WHは、いながらにして放浪しているような気持ちになる。
定常的な外界は存在せず、限られた経路は不安定。
後ろ盾のないちっぽけなPOSは常に危険にさらされていて、私たちは、自分の船の修理さえ自分自身で行わなくてはならない。
幸い、私にはT2生産の技術があるけれど、生産施設は設置していない。
そうした設備投資をするリスクを、今は背負うことができない。
こんなに寂しくて、こんなに心細い。
Corp の仲間がいてくれればこそ、まだ私はここに残ることができる。
しかし果たして、たとえば Corp が解散してしまったら、私はとてもじゃないけれどこんな場所では暮らせないだろう。
もちろん、一人には馴れている。
故郷を飛び出したときも独りだったし、所属 Corp で孤立することもあった。
一人でなんでもできるように、と、製造/開発スキルも学習してきた。
「DDは便利で最高だよね!」と思っていた頃が、まるで大昔のようだ。
WH移住メンバは、あまり多くない。
もう少し増えたら、POSを増やすか、サイズを変える必要があるだろう。
たまには Corp 運営のことを書いてみようかと思う。
もともと私には、集団を統率する能力が乏しい。
集団を形成する能力も低ければ、集団を維持する能力もない。もちろん気力もない。
ついでにカリスマ Pod Pilot でもない。
利益追求集団の運用知識も、実績も、ない。
好きなことを好き勝手にしているだけで、スキル的にもなんらかの分野に決定的に長けているわけではない。
プレイヤのIRL(in real life )でも、異性にはモテるが友達は少ないし、集団帰属意識が薄いため、そもそも群れない。
キャラクタはもちろん、ゲームプレイにもそれは反映されていて、最初の頃は「PC Corp ? メンバになるのも面倒だな」と思っていたものだ。
実際に入社してみると、結構面倒だった。
そして、自分が運営する立場になるなんて(面倒すぎて)思いもしなかった。
Corp 運営は、PvP だと思う。
Ship 同士の PvP は、結局システムに依存していて、私には PvE と大差ないものとしか感じられない。
実際に、Fitting System はクライアントに組み込まれているものであって、千差万別のパターンが存在するものの、環境依存に変わりはない。
(ときおり「Mission Running などの PvE はくだらない作業だ」というベテランプレイヤもいらっしゃるが、なんだか微笑ましいな、と思う)
Corp 運営は、まるまる PvP である。
Role(役職)管理はもちろん、POS運用などシステム依存の部分はあるし、Corp 財産の運用など、数値相手の作業もごまんとあるけれど、最終的な相手は生きた人間である。
それぞれに得手不得手があり、好き嫌いがあり、したいこととしたくないことがある。
考え方も千差万別で、細かい部分での不満が蓄積したり、ふとしたきっかけでの見解の相違から衝突することもあるだろう。
IRLとのバランスもあり、IRLのちょっとした逃避(あるいは娯楽)でプレイする方には、あまり大きな負荷をかけてしまうわけにはいかないし、本人に自覚がなくとも、それだけの実力のある方であれば相応の役割を負っていただけば、その方のプレイにも深みが生まれる。
(もっとも、私の経験では、したくない役職を押し付けられるのは本当に苦痛なので、これは注意しなくてはならない)
CEO や、Dir. のこうした作業範囲は、運営を続けるにつれて、多様化し、複雑化する。
ただの集団だった私の Corp にも、規約が生まれ、役割分担が発生し、NPC Corp に所属していた頃と同じように活動したい(ように思える)メンバやIRLが多忙な(ように思える)メンバには干渉を控え、新しい計画や活動に対して、積極的に応じてくれるメンバには、指示を与えている。
モニタの上で、彼らの船や財産は、常に数値化される。
しかし、数値化されないものがこの宇宙ではあまりにも支配的だ。
マーケットであっても商品の価格は数値だけれど、その需要と供給の根底にある購買者の意向、それを読んで対応しようとするメーカやトレーダの思考は、数値化できない。
数値化できないもの、言語化できないものを、うまくイメージとしてつかんで、それを形にしてゆくことは大変だけれど、やってみると楽しめることもあるのだと分かった。
私には、それはとても大きな発見だったと思う。
まだ、プレイ暦も2年ほどだし、まともな Corp 運営開始(Alt 以外のメンバが Join した状態)から1年も経っていない。
このゲームで、この程度のプレイ暦がどれほど浅いか、今は痛感している。
分からないことだらけ、迷うことばかりで、本当に心細いけれど、それを聞いてくれるメンバもいるのだから、それはとても幸せなことだと思う。
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