POSが燃えた。
POSが燃えて、船が盗まれた。
ログインした直後、そこには、ぽっかりあいた虚無だけが残っていた。
私の作った採掘艦4隻。
私の作った輸送艦1隻。
私の作ったサルベージ艦1隻。
私の作った戦闘艦1隻。
私の作った探査艦1隻。
私の作らなかった艦船、3隻くらい。
ああ。
なんということだろう。
ポッドの溶液が、失意と恐怖でその温度を急激に下げたように感じる。
逃げるようにしてOPへジャンプを繰り返す。
System 内には私と真雪しかいないけれど、何者かに追われるような、不気味な感覚が肌を覆う。
OPに入って、ぐったりと艦長室のソファに横になる。
いったい、これからどうすればいいのだろう。
真雪などは魂が抜けたような表情で、うつろに虚空を眺めている。
私たちが戦闘で使っている艦船は無事だが、失ったものは多い(気がする)。
おそらくはWHからの侵入者がこぞってPOSを襲撃したのだろう。
なんという不注意。
なんという無防備。
POSにそれだけの艦船を停泊させたままにしていたのは、すべて私の失策だ。
>>>
ふと Ship ハンガに目を移す。
ああ。
この期におよんで、まさか。
なんということだろう。
採掘艦が2隻、出来上がっているではないか。
装備も一式、ころがっているではないか。
Rigまでご丁寧に出来上がっているではないか。
ぐったりうなだれた真雪に声をかける。
彼女は蒼白な顔を重たそうに持ち上げ、私のいるあたりを見つめる。
その瞳は、ブラックホールのように光を失っている。
私たちは譴責を受けた末、追放されるかもしれない。
けれども、それまでは、できることがあるのだ。
真雪はOPを出る私に、しぶしぶついてくる。
私は採掘をする。
真雪はその護衛をする。
今までより慎重に。
今までより的確に。
目の前には鉱石があり、OPには生産ラインとBPCがある。
一晩掘って、採掘艦をさらに3隻製造することができた。
そうだ。
私たちは無力なんかじゃない。
忘れてはいけない。
私たちは無力なんかじゃない。
失敗にうなだれたあとは、同じ失敗を繰り返さないように、糧にして立ち上がればよいのだ。
……でも。
BPCが尽きたらどうしよう。
今はそれが心配だ。
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