我々カプセラは不死身だ。
違うだろうか。
>>>
いや、厳密にいえば我々カプセラは死ぬ。
しかし死んでも多くの場合は蘇る。
のんびりぼんやり羊水の中に眠ってばかりいる私だって、これまで何度か死んだ経験はあるのだ。
そして同時に思い出す。
この宇宙は、それはそれは恐ろしい場所なのだと。
だからオールドアースの夢から醒めて、クローンポッドから外に出ても、宇宙が怖くて船に乗れないのだ。
船に乗っても、ステーションから Undock することができないのだ。
それにしても記憶が整合しない。
私は確か、WHの中にいたような気がするのだ。
でも目覚めた場所はステーション。
どうやら Hi-Sec の、しかもスクールのステーションにいる。カルダリだ。出身校だっただろうか。思い出せない。
船はT2探査船だ。確かクローク機能を搭載している。
混乱しつつ真雪を起こす。
そう、課金だ。世の中、金だぞ諸君!
たしかそういうキャラだったんじゃなかったっけ私。
真雪もなぜかステーションにいる。スクールだ。
おそらくふたりとも出身校にいる。
ということは、私たちは何らかの理由でWHから逃げたか、WH内部で死んだことにされたのだろう。
じり貧ながらも、WHはスリリングで楽しかったような気がする。いや血生臭くてひたすら恐ろしかった記憶の方が強いか。
いろいろなものが、あちこちの星系の、あちこちのステーションに転がっている ── 確信。
いろいろな船に乗って、いろいろな場所を旅した記憶がある ── 好奇心。
いろいろなことを学んで、私たちはWHで生活していた ── 核心。
でも、最後の方だけ、ひどく記憶が曖昧だ。
何があったのか、まったく思い出せない。
ただ驚いたのは、未だに FlatSleeper 社があって、真雪がCEOのままだということ。
もちろんオールドアースの白昼夢を見ているときだって、私の神経伝達ケーブルにはEVE宇宙の情報がときどき流れてはいた。
でも、誰かが活動して、誰かが守ってくれていたその Corp に再び戻り、私が活動して私が守ることが出来るのだとしたら、その意味はすこし変わってくる。
Podの頼りない姿さえ凜々しく感じるのに、CovertOps を「Proteus」と名付けているその事実が、私の当時の恐怖心を物語っている。
/-----
※ CovertOps
クローキングユニットを搭載して任意に使用することで、一切のレーダ/センサから船体を隠蔽することのできるT2フリゲート。
探索性能にも優れ、偵察や危険区域の渡航に使われることも多い。
※ Proteus
言わずと知れた Gallente の誇るT3クルーザ。
ブラスタ使いなら一度は乗ってみたい憧れ。
(しかしWHで一度くらい壊してしまった気がするんだよねぇ……)
-----/
平たい眠り ── つまりは死をモチーフに名付けられたその所属タグを、懐かしむ。
Corpを維持するのって大変なのに。
あちこちにオフィスがあったり(使えない)資材が転がっていて、大変なのに。
誰か(だいたい見当は付く)が私たちの帰る場所を守ってくれていたのだ。
私は伝えたい。
「私たちは帰ってきたぞ〜!」と。
ただ。
帰ってきたのはいいのだけれど。
宇宙がコワくてステーションを出られないのです……。
0 件のコメント:
コメントを投稿